想定外の展開になってしまった
忘れられない夜、が
こんなふうに増えていくことになるなんて
全然想定してなかったから
ただただ、戸惑っているという話
ゆきちゃん。と 低めのトーンで呼ばれたから
あわてて顔を上げると
おいしいわ。と まっすぐに言われたから笑った
高校生の頃からだいすきで
よく来てる問屋町に
一緒にいることが不思議な感覚でもあり
それがすごく自然な感じもしたりして
よくわからなかった
どんなことを考えながら
撮ってくれたんだろう(2回目)
わかったのは
何かを写真に収めたくなる気持ちの度合いが
たぶんすごくわたしと近いということと
撮る写真と上げる投稿とストーリーのセンスが
はじめからずっと好みだったということと
わたしは彼に撮られるのがすきだなということ
どうしてこんな場所を
わざわざ調べてくれていたんだろう
と考えながら
なんだか申し訳なくなっていた
こんなところに一緒に来たのが
こんなつまんないひとでいいはずがない
これからはもう
楽しいことは全部ぜんぶ
封印しようと思っていたし、
そうするべきなんだと思っていた
粛々と 淡々と ひたすら自分とだけ向き合って
残りわずかを生きていくだけと思っていた
それで じゅうぶんだと思っていた
それなのに
こんな楽しい感覚を
思い出すことになってしまって
いったいどうすればいいんだろう
言えてなかったありがとう は
直接伝えられる自信が どうしてもなかったから
小さな紙に、簡単に書いて手渡した
かろうじて できそうなことが
書くことくらいなくせに
短い言葉の中で収めようとしたら
結局 中途半端なものになってしまって
もう救いようがない感じだったんだけど
そんなものでも読んでくれたみたいで
相当 恥ずかしかったけど
返ってきたのは
"俺も伝えてないことあるから また会おうね"
ただの社交辞令じゃないのなら
文字通り そのまま受け取っていいのなら
ああ また会えるんだなって
それだけで嬉しかった
想定外の展開になってしまった